VIDEO: Hi,how are you? // お盆

京都を拠点に活動するポップ・デュオ、Hi,how are you?が8月に〈ROSE RECORDS〉よりリリースするセカンド・アルバム『さまぁ〜ぎふと』よりリード・トラック「お盆」のヴィデオを公開。

ユニークな言語感覚、というか単語の接続(例えば「麦わら 抜け殻 地方競馬」とか)で、君の/僕の/だれかの、いつか/どこかの怠惰な「夏休み」を浮かび上がらせる突出した詞のセンス、人生においてけして繰り返すことのない愛おしい刹那(「夏休み」は終わりがあることをあらかじめ約束されている)をさっと掬いあげる手つきには参ってしまう。Hi,how are you?の素晴らしいところは、その音楽が一人称の私世界に閉じこもっていないところだ。どこか客観的で、それがゆえに普遍的とさえ言えるような領域から聞こえてくる。

原田くんのホームビデオをVIDEOTAPEMUSICがエディットしたという素晴らしいヴィデオは、彼が書く言葉やメロディと呼応しあって、いまはもうそこにない刹那を感傷的なノスタルジーと客観性でもって見事に映像化している。

Words by @shit_pie

LISTEN: Tlatolon // Ektomists

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オーストラリア、メルボルンのプロデューサー、Jeremy CoubroughことTlaotlonが〈1080p〉よりEPをリリース。

これが実に素晴らしい! フロアとベッドルームとインターネットを切り結ぶダブ・テクノの新鋭、ここに現る。

明らかにOPNの“R+7”の衝撃に大きくインスパイアされながらもオールドスクール・テクノをエクスペリメンタルな視座とサンプリングとエレクトロニカで脱構築。透きとおった音色のシンセサイザー、冷静に刻まれるイーヴン・キック、その上を縦横無尽に駆け巡る多様なサンプル、Beasic Channelふうのダブ処理によってもたらされるサイケデリア――見事に「今」を感じさせる新しいダンス・ミュージックになっている。アートワークも最高。この才能と比類なきセンスはおそらく世界中のレーベルがこぞって手に入れたがるはず。

Words by @shit_pie

MP3: KEEPBULLFIGHTING // Mysterious Time Stream Evolves You​.​.​.

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LAの謎多き前衛電子音楽作家、Alexander HeathことKEEPBULLFIGHTINGが新作『Mysterious Time Stream Evolves You​.​.​.』をNYPで公開。

すでに10年以上のキャリアがあり、コンスタントに自作をBandcampで公開(その総数40作以上)し、あのConstellation Botsuもファンを公言しているKEEPBULLFIGHTING。偏執狂的なオールドスクーラーっぷりを見せつけるアナログなテクスチャーのチープ・ローファイ・ドローンとアンビエントになりえないテクノ/ヒップホップ・ビートを相変わらず自由に往還している。暴力的にならないキュートなチープさを持ったノイズと、瞑想のモードをぶち壊す多弁な曲展開(つまり“keep calm”でなく“keep bullfighting”なのだ)。しかし、これまでの作品といったいなにがちがうのか……。その点はおそらく本人にしかわからないところだろうが、とにかく近年熱心にフォーカスしているドラマティックな10分以上の長尺曲にKEEPBULLFIGHTINGの才能のマジカルな輝きが宿っている(特に17分の「Evolution」に真骨頂が)。……ところで犬への異様な執着は薄れたの?

Words by @shit_pie

LISTEN: Paco Sala // Put Your Hands On Me

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18+の衝撃、というのは確かにあったと思う。男女デュオによるインディ・クラブ/インディ・R&B。それを素朴にEverything But The Girlのリバイバルと呼んでいいかは知らない。が、とにかく、アンダーグラウンドなところでは(惜しくも分裂してしまった)Hype Williams、ポップなところでは(みんな大好き)AlunaGeorgeと、2010年代初頭に「今っぽい」と言われるひとつのスタイルとして、それは地下・地上を問わずに同時多発的に出現したわけだが、18+が用意した三つのミックステープが放つあの不穏さ、あの匿名性、そしてあの病的な耽美は異様で、悪魔か何かに憑かれているようにすら思えた。(ちなみに18+は今年の8月、注目の<Houndstooth>より7インチでついにデビュー予定!)

今よりも有名になるころ、おそらくは上に挙げたような名前がレビューの原稿内にウンザリするほど繰り返し使われることになるであろう、ロンドンの男女デュオ(Antony HarrisonとBirch)、Paco Salaはどうか。これらの中に限った狭い比較で言えば、その耽美的な女性ヴォーカルを包むシューゲイズ風のドリーミーかつノイジーな音響処理が特徴的で、なんて話をしてもしようがないか。まずはこの立ち姿、ヴィジュアルの握力、パッと見のセンス、これだけを頼りに音を聴いてみてください。前作『The Fog』(2013)のBandcamp購入者履歴で一番目に表示されているDirty Dirtさんのブログによれば、原宿のクールなレコード・ショップ<BIG LOVE>でフィジカルの取り扱いがこれまでにもあったということなので、端的に正解、そういうことなのでしょう。本作『Put Your Hands On Me』(2014)は、5月に<Digitalis>からリリースされた彼ら・彼女らのNEW。さながらPortisheadのポスト・インターネット・ヴァージョン、なんてね。デジタル・アルバムは$7より販売。

Words by @johnnys_pants

LISTEN: Virgin Babylon Selected Works

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東京のレーベル<Virgin Babylon Records>が新企画『Virgin Babylon Selected Works』がスタートしました。この企画は<Virgin Babylon Records>が現在要注目の新進気鋭アーティストの音源をBandcampのname your priceで公開し、得た収益をすべてアーティストに還元しようという試み。恥ずかしながら当記事の筆者、az_ogi がコメントをチラりとしたためておりますので是非ご確認くださいませ。



初回はメトロノリsane masayukipin_oknw の3人のアーティストがセレクトされてます。メトロノリは今までの彼女のディスコグラフィー同様、ロウソクの灯火のように繊細な世界を声と生楽器で奏でています。他では類を見ない彼女独特の音の出し方や歌詞世界に注目していただきたいです。sane masayukiは、Haruka NakamuraAkira Kosemura高木正勝といった、日本的情緒をもつ美麗アンビエント/エレクトロニカなアーティスト達と同等に語られてもおかしくないキラキラとした傑作に仕上がってます。ひとつひとつの音の響きがとても美しい。pin_oknwはコメントにも書いた通り、単位時間あたりの展開の早さ、密度の濃さが見モノ。こういった音を鳴らすアーティストが日本にどんどん増えて欲しいと常々思っています。そしてこの3作品、内容はもちろん素晴らしいですが何よりも企画が面白いなと思いました。音楽が溢れている今の現状で、一個人がより注目されるためのまたひとつのパイプができたのかなと。

ネットシーンにおいてはブログがレーベル的な活動をしたり総合メディアがミックステープを公開したり、というのは世界的にみたらごく普通のことではあります。例えば最近のニュースだと、ニューヨークにはストリートカルチャーを専門的に扱うメディア<Mishka NYC>からリリースされた YF のミックステープ『I AM YF』はカッコよかったし、ロンドンを拠点とするストリート&ゴスなファッション・メディア<Long Clothing>のミックステープも面白い。ベルギーにはブログから派生した<Urban Waves>があります。最近注目しているのはベルリンの<UnReaL>という総合メディアが8月に初のリリースを行う(当初は7/16だったのが延期した)ようです。ただ日本においてはそういった動き、つまり、既にある程度の信頼性を保有している団体によるインディー・アーティストのミックステープによるフックアップが少ないのかなと。今回<Virgin Babylon>という”理解のある”レーベルがこのように新しい試みを始めたのは、次に繋がる何かを感じさせるものが充分あります。

Words by @az_ogi

LISTEN: Ballerine Nadiya - S/T

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恐ろしくチープだ。シンガポール生まれのカクテルからその名を取ったと思われるレーベル<Singapore Sling Tapes>から発表されたBallerine Nadiyaのセルフタイトルアルバムはヨレたビートを何とか取り繕おうとする楽器の音色と……いや取り繕おうとする気すらないのかもしれないが……十年前のヘッドセットマイクで収録したとしか思えないくぐもったボーカルとが純粋なサイケデリアを生み出しているという点で一聴の価値がある。

M1の「Soul Flower」をとってもそうだが、彼女の曲には奇妙な酩酊感がある。壊れた電子ピアノを弾いたようなシンセサイザーの陽気なアルペジオは頭の奥底から鳴り、その音が頭蓋でいくつも反響して重なりあっているような抜けの悪い音色だが、それは何か記憶の片隅にあるものを掘り起こそうとするようなノスタルジックな響きでもある。

全体としてポストパンク的な趣向が強い作品だが、それ故M7「3am Nightgown Walks」にはハッとさせられる。Ballerine Nadiyaの抑制の効いたボーカルとピアノの静謐さ、そして環境音のサンプリングの妙とがこの曲の美しさに結実している。

チープではあるが、静かにそして淡々と紡ぎだされる彼女の曲には聴き手の琴線に触れる何かがあるはずだ。このアルバムはそんな言葉には言い表しがたい青い感情に満ちている。

Words by @La_reprise

MP3: Venus + Mars // Let’s Take The L Train Instead

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サンフランシスコより現れたVenus + Marsによる『Let’s Take The L Train Instead』が美しすぎた…。現在Bandcampにてname your priceで配信中。

ゆったりと流れるアンビエント。永遠に続くかのような、優しい音。全編通しての充足感が堪らない。波が押し寄せるように徐々に勢いを増しながらも、常に爽やかさをまとう「She’s Lost Upon Me」を皮切りに、浮遊感さえ感じさせるメロディを更に引き立てる、優しい声での語りが印象的な「I Absorb The Blows」「Psalmodie Du Archanges」と続けば、虜にならないものなど居ない。それから先は魅了されてしまったが最後…もうこの作品を幾度となくリピートさせられてしまうだけです。夢心地のまま、どこかへ誘ってくれそうな危うい魅力。単なるドリーム・ポップと表してしまうよりは、シューゲイズから更にその先のノイズ/エクスペリメンタル・ミュージック等々の、様々なアンダーグラウンド・ミュージックから濾し取ったものを、ポップ・サイドに持ち込んだもののように感じます。

作品の最後に据えられた「Moonbathing」「Moonbathing II」ですが、これはTom Middletonというアーティストの楽曲「Moonbathing」のカヴァーに当たるようで。原曲自体が恐ろしく良い楽曲なのですが、今回の敢えて分割されたカヴァーもまた違う切り口の美しさが表層に現れていて、じっくり味わうことの出来る楽曲に仕上がっています。

以下オリジナル。

PS. 投稿にもたついておりましたら早速新譜がつい最近リリースされました。

この新譜に当たる『Across The Horizon I Can Still See Your Face』はニュー・ウェーブ経由のより一層ダンサンブルな作品に仕上がっているようなので、こちらも要チェック!

Bandcamp以外に情報がありませんが、これは追いかける必要がありそうです!

Words by @TakeMusik2

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