MIX: Xosar // TRAX.102

オランダ在住のトラックメイカーXosarがフランスの音楽誌<TRAX>のwebで連載されているDJミックス・シリーズに登場。フリー・ダウンロード。

写真の女性がSheela RahmanことXosar(ゾイザー)。この写真は彼女の特徴がぐっとキャッチーに表されています、Roland Jupiter-8やKORG Electribeなど大小さまざまなハード・シンセ&ドラムマシン、部屋にバーチャルな森をアサインする神秘主義的なインテリア、セクシー&キュートなルックス(男女問わずアーティストにはいつだってセクシー&キュートであって欲しい)。

Trackman Lafonte & BonQuiQui,Xamigaなどのユニットにも参加しており、そのいずれも共通する、ハード機材による無骨でざらついたキック、梨地のようにみずみずしいシンセの響き。

もともと彼女はロウ・ハウス~ロウ・テクノ(その名の通りRAW=むき出しの、生々しいアナログ・シンセやドラムマシンを前面に出したテクノ/ハウス)ブームの文脈で語られていたのですが、極め付けはこのBoiler Roomでのパフォーマンス。LFO”LFO風のパッドシンセから始まるこのパフォーマンス、自身の代表作”The Calling”も交えつつ、たっぷり一時間生シーケンスで突っ走る、「テクノと言えばミニマル・テクノ」な耳からすれば展開のメチャメチャ早い内容なんですけど、全編を取り繕うシンセがデトロイト・テクノの描く宇宙とはまた違う「ブッダ、ゼン、ワビサビマインド~」なヨーロピアン・ニューエイジ的宇宙趣味(彼女はかなりのオカルト・神秘主義者でもあります)。

話は冒頭に戻りましてTRAXでのミックス音源、冒頭10分はかなりキツいゴスな讃美歌系ドローンノイズ。オカルト。やっとビートが聴こえてきてホッとするものの、これもThrobbing Gristle”Hamburger Ladyみたいな神経逆撫で鳥肌インダストリアル。まあこの部分も部分でカッコいいんですけど、キックが入ってくるのは中盤24分あたりから。Psychick Warriors ov Gaia(TG解散後にジェネシス・P・オリッジが立ち上げた宗教音楽ユニットPsychick TVの思想をトライバル/トランスに昇華したテクノ・ユニット),Low Jack,Terrence Dixon(このあたりはレーベルメイトやデトロイト・リバイバル勢)などの音源を用いた、かなり荒々しい展開。

Words by @y0kotetsu

LISTEN: Village Klick

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今回ここに紹介するヒップホップ・クルー、Village Klickと出会ったのは、Mountainous Collectiveと遭遇したときと同様、SoundCloudを徘徊していたときのことだった。〈AMDISCS〉のページの右側に彼らがLikeを付けたトラックが3曲並んでいた。そのなかに「NARDO AKARU」というアーティストの「RESURRECTION」という曲が、あった。

ピンクの骸骨のイメージ、大文字、全角アルファベット、古いマッキントッシュの画面に日本のアダルト・アニメの画像をはめ込んだアイコン……。

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カット・アップされて痙攣するピアノのループ、スロウ・ダウンしたトラップふうのビート、そしてそれらにまとわりつくようなねばっこいラップ――わずか1分19秒のショート・トラックは、トラップとチョップト・アンド・スクリュードをスカスカに骨抜きにしたようないびつなものだった。

彼のTumblrへとジャンプするとそこにはヴェイパーウェイヴ後の焦土をさらに漂白したような異様な光景が。

集落(※音量注意)

日本のアニメ/ゲームと80’s末期〜90’s初頭のテクノロジーへの異様な執着と並列されるヒップホップ的なイメージの数々……。それと同時に大音量で流れだしたのは、スモーキーなクラウド・ラップのビート。どうやら「REJJIE HYPE」というアーティストの曲らしい。

サーチにかけるとすぐにフリー・ダウンロードのEPが1作アップロードされたBandcampページが見つかった。

そこからわかったことは、NARDO AKARUREJJIE HYPESensei SetsaAyoZaAuraという5人でVillage Klickというクルーを組んでいるらしい、ということだった。

田舎(※音量注意)

トラップ、チョップト・アンド・スクリュード、クラウド・ラップ、ヴェイパーウェイヴ、ウィッチハウスなど、ここ数年のうちにインターネット・アンダーグラウンドから現れてオーヴァーグラウンドやインターネット上で消費されていった音楽を飲み込んでひとつのものとして吐き出しているのが彼らのスタイルだ。Facebookページのインフォメーションには「Slowly rising underground rap group inspired by 90’s era rap」とあるが、Mountainous Collective同様に90’sヒップホップをルーツとしている点も興味深い。

クルーによるアルバムはないものの、トラックメイカーであるAura以外の4人はそれぞれソロのミックステープをリリースしている。

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NARDO AKARUAyoZaAuraはメンフィス(ミシシッピ)、Sensei Setsaはテネシーで活動しているらしく(しかもわざわざ「Japan」と付けている)、全体的に南部色が強い。NARDO AKARUAyoZaRaider KlanRvdxr Klvn)への傾倒を如実に示している。

REJJIE HYPEはひとりだけパリを活動地としていて怪しいところだが、ヴェイパーウェイヴをむりやりトラップに乗せつつもアーバンなビートを刻んでいるような音楽性は異色で、案外本当にパリにいるのかもしれない。『LIQUID MARBLE EP』はクルーの作品のなかでも最も優れたオリジナリティを誇っている。ちなみに彼は〈AMDISCS〉にEPのmixを提供している(mixといってもまったくつないでいないのだが)。

Mountainous Collectiveや〈bootleg tapes〉のLAMP GODLORD $M$Bessedof)もそうだが、なぜヒップホップはトラップやチョップト・アンド・スクリュードを経由するとヴェイパーウェイヴと高い親和性を持ってしまうのか。なぜ彼らは(90’s)日本のアニメ/ゲームの音やイメージに強く執着するのか。ポスト・ヴェイパーウェイヴの漂白された更地は謎に満ちている。

Words by @shit_pie

MP3: MarshSound // Climate

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ニュージャージーより、Swampy(じめじめした)シンセとサンプリングを駆使するプロデューサー/DJであるMarsh Soundの新譜『Climate』がbandcampにてname your price公開中です。

不意に出てくる謎の日本語からまた異臭が漂う。アニメ音声すら材料の一つとして分割され、混ぜ合わされ、新たに追加、再構築するのが彼の作風ですが、それが心地良い違和感を運んでくれます。実験音楽的な素っ頓狂なシンセとリズムトラックに、緩急自在のフレーズ。ノイジーだったり、ポップだったり、まとまりが無いような、しかしどこか統一感を感じてしまう音がここにあります。

3曲の新曲と3曲のリミックス、計6曲の今作。オープニングを飾る「Swampfoot」はアンビエント念仏(?)と言って良いような気持ちの悪さが印象的。サンプリングにより意味の分からない、そもそも意味を成さない音の羅列を、心地の良さと悪さの間をすり抜けるような楽曲に仕上げています。とは言っても難解な音楽ではなくて、どこかキャッチーさを携えてるかのように受け取れるところこそ彼の魅力かも。対照的に、Traxmanの「Footworkin On Air」を思わせる「Emerald & Ivory」(といってもJuke色は強くないけれど)のような楽曲は、彼のポップな側面に寄った楽曲でクール。

Words by @TakeMusik2

VIDEO: Digits // Keeping Secrets

カナダはトロントのミュージシャン、Alt a.k.a. Digitsが楽曲Keeping Secretsのビデオを公開。曲そのものは去年から発表されていたもので、この曲含む12曲入りアルバムShake Your Body Down公式サイトからフリー・ダウンロードとなっています。フリーではあるものの、PayPal経由で一口5ドルからのカンパあり。

16分打ちのズンベベ・シーケンスは80’sは80’sでも英国ニューウェイヴ~シンセポップよりも、PyrolatorDie DorausなどのAta Tak経由ノイエ・ドイチェ・ヴェレを彷彿とさせる牧歌的テクノ……。ビデオは、カラオケを熱唱するオバさんたちを過剰にドラマチックに描いた謎センス。

ちなみに彼はカナダのインディー音楽を紹介するブログ<Silent Shout>のメンバーでもあります。ビジュアルだけでもビンビンにインディー・オモシロなので即Ctrl+Dで。

Words by @y0kotetsu

MP3: メトロノリ // 大気、テープのヒレ、メモ集

東京は渋谷の女性作家メトロノリの新作『大気、テープのヒレ、メモ集』がドロップ。

「歌声も楽器のひとつとして…」的な使い古された表現も彼女の場合は使わざるを得ないぐらい、トラックとボーカルの並列っぷりは健在。お経というにはポップで美しいが、それは従来の意味での「ボーカル」と呼べるのかは疑問符。あまりにも細く深い彼女の「声」はメトロノリが作る世界には絶対に欠かすことのできないファクター。スキャットなのか歌詞があるのかどうかも判断が出来ないこの小さな声にずっと浸っていたい。

そんな美麗な世界に酔いつつ、彼女が前作の『ヴェール』でちらつかせていたダウナーな部分がより展開されたM4「花売り (__ ___)」のエクスペリメンタルっぷりに驚く。一度この感じだけでアルバムを作ってほしいというのはワガママだろうか…。

ウォーミーなのかヒンヤリとしているのか、彼女の音楽は聴く時間帯や天気、季節などによってどのようにも解釈が出来る不思議なチカラがある。ベッドルームに広がるは狭小でもあるし広大でもある世界で、そして、それはとにかく最高ってこと。

Words by @hihikun_

VIDEO: 에릭남 (Eric Nam) // 우우 (Ooh Ooh) (Feat. 호야 of 인피니트)

韓国のオーディション番組「偉大な誕生」のシーズン2でTOP5に残り注目を浴びたアメリカ出身の韓国人シンガーEric Namの新曲が素晴らしい!客演にはINFINITEホヤがRAPパートとして参加。

DISCOベースのファンキー&グルーヴィーなトラック。Bruno Marsの「Treasure」などに代表されるように、メインストリームなポップスのフィールドでもDISCOをフィーチャーする動きがここ数年活発な訳ですが、欧米のシーンに敏感なK-POPですから、当然こういうことは起こり得るんですね~。K-POPのフットワークの軽さと自分たちのモノとして昇華するサイクルは本当に素晴らしい。

この曲作った人誰なのかなーと気になったので調べましたが、コンポーズのクレジットには「한재호, 김승수, 황현」と3人の名前があったのですが、한재호だけしか日本語のページがヒットしなかったので詳細が把握できませんでした。この한재호(ハン・ジェホ)という方はKARAの「ミスター」なども手掛けたことのある人だそうで。

Eric Namは爽やかな感じですし少し違いますけど、K-POPのシンガーたちは男は徴兵制があることも関係してかガタイが良く筋肉質、女性は良い意味で「ビッチ」っぽいというか「肉食系」というか、肉感的。男女ともにマッチョイズムみたいなものがあって、そして、それが良しとされてる。それが英語圏にもウケる所以なのだと思います。例えば男だとBlock Bなんかは素行の面で問題があるけど、曲は抜群に良い。メンバーの「俺らイカしてんだろ?」みたいな鼻につく態度もヒールっぽくて僕は好きだ。

日本はどうもアイドルに求められるキーワードは「若さ≒子供っぽさ」な気がするし(AKB48など)、K-POPアイドルが完成されたものを楽しむのだとしたらJ-POPアイドルは「成長」とか「共感」が重要なファクターになってると思う。なんだかさっきからアイドルと●-POPがゴチャゴチャになってる感は否めないし、アイドルについて詳しくないし、まず大好きって訳じゃないから深く語るつもりは無いんだけど、客観的に見て日本にマッチョイズムなアイドルっていないよな~、と。BiSみたいに過激な感じはいるとしても「マッチョイズム」ではないよね。どちらかというと彼女たちは「ナード」とか「オタク」なカルチャーから出現したと思うし。現代にピンクレディーが出てきたとして、あの「大人の女性」&「セクシー」な路線がウケるのかというと、今の風潮からするに微妙なラインだ(僕は世代が違うからピンクレディーが当時そういう扱いだったのかは知らないけど、個人的な感想としてあの衣装は相当キワドイ)。

露出度の高い衣装を身に纏ったスタイル抜群の男女が洗練されたパフォーマンスで唄いあげ、それが受け入れられるK-POPというシーンは僕としては非常に羨ましい限りなのです。日本のアイドルのカオスっぷりもまさに日本って感じで、それも個性だから変える必要はないけど(でんぱ組.incBABYMETALは日本じゃないと絶対に生まれないし、それでもって最高)、ただ、こういうK-POPみたいな欧米ノリなアイドルたちが出てきても面白いんじゃないかな。選択肢が増えるという意味でも。

っていうかK-POPはマジで良い曲多いな~。ネタがだいぶ溜まってきてるんで近いうちにK-POPの記事書こうと思います。J-POPも並行してね。

Words by @hihikun_

MP3: ラブリーサマーちゃん と 芳川よしの // はじめまして

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SoundCloudにアップされた「水星」(tofubeats)のカバーや自作曲で注目を集めている若干18歳の宅録ギター女子、ラブリーサマーちゃんが、トラックメイカーである芳川よしのとの共作でなんと〈Maltine Records〉から2曲入りEPをドロップ。

Download

ラブリーサマーちゃんのほんのすこしかすれた甘い歌声と機微を聞かせるキュートな歌い回しとが、芳川よしのによるドリーミーなきらめくシンセポップふうのトラックと見事に溶け合った傑作となっている。

大学入学という新しいスタートへ向けてゆらぐ不安と期待とを、相対性理論を想起させるメロディ・センスが光るトラックに乗せて歌う「はじめまして」は、ちょっぴりメランコリックな素晴らしい青春ポップ。ディスコティックでロマンティックな「Moonlight」も素晴らしい。

ラブリーサマーちゃんは3月にファースト・デモをZIPとCD-Rでリリース済み。また、〈MarginalRec.〉からHerokkin & ラブリーサマーちゃん名義での「笑い話(waraibanashi)」のリミックス・コンピレーション宇宙ネコ子とラブリーサマーちゃんでのシューゲイジングな「日々のあわ」(中村公輔Prod.)の公開など、精力的な活動を続けている。

さらに、tofubeatsの「ディスコの神様 feat. 藤井隆」へ(Shiggy Jr.のヴォーカル、Tomoko Ikedaともに)コーラスとしてフックアップされ、東京のインディー・ポップ・バンド、For Tracy Hydeへの加入を発表(「First Regrets」を公開中)するなど、ビッグ・ニュースも届けてくれている。要注目!

Words by @shit_pie

NEWS: 米・音楽メディア〈Tiny Mix Tapes〉が新しいライターを募集

このブログでニュースを扱うつもりは無かったのですが、米・音楽メディア〈Tiny Mix Tapes〉の人気コーナー「Chocolate Grinder」の担当エディター、通称C Monsterからメールが届き、今回の募集を宣伝してくれないかと。尊敬、そして愛する音楽メディアからの依頼を断るわけもなく、HHW始まって以来初のニュース記事となります。今後もこういうのやっていこうかな。

今回、TMTがライターを募集するのは

Music Reviews

Music News

Chocolate Grinder

Film

(http://www.tinymixtapes.com/jobs)

の4部門です。TMTを構成する全て、と言って過言ではないぐらいの主要な部門で新規ライターの参加を歓迎しています。各部門の募集要項(英文)は上記のリンクより飛ぶことができます。

今回、TMTがHHWにこのような宣伝を持ちかけたということは、日本人ライターの参加もOKということだと思います。英語はもちろん必須でしょうが、TMTという素晴らしいメディアの哲学を理解し、そして、その哲学を広めることに寄与したいという方は是非ご応募なさってください。

Words by @hihikun_

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